「インフラエンジニアはクラウドに行かないと詰む」と聞くと、オンプレミス中心で仕事をしている人ほど不安になるかもしれません。
クラウドを経験していない。
今の仕事はオンプレミスの運用が中心。
このままで問題ないのか分からない。
ただ、ここで「クラウドに行くべきか」を先に決める必要はありません。
まず確認すべきなのは、自分の現在の仕事にクラウド対応が必要になっているのかです。
クラウド経験がないことだけで「詰む」とは判断できません。
一方で、現在の仕事に変更が必要な条件があり、その条件を解消するためにクラウド対応が必要になっているなら、話は変わります。
この記事では、現在の仕事でクラウド対応が必要なのか、オンプレミスのままで対応できるのか、現在は不要でも次の経験としてクラウド対応を検討する必要があるのかを分けて判断します。
結論
クラウド経験がないだけで「詰む」とは判断できません。
判断するべきなのは、「クラウドを経験しているか」ではなく、現在の仕事にクラウド対応が必要になっているかです。
現在の仕事に変更が必要な条件があり、その条件を解消・変更するためにクラウド対応が必要なら、現在の仕事上クラウド対応が必要です。
一方、現在の仕事が成立しており、オンプレミスのまま別の方法で対応できるなら、現在の仕事上クラウド対応は不要です。
さらに、現在は不要でも、次の経験としてクラウド対応を検討する余地がある場合があります。
したがって、判断は次の3つに分けます。
- A:現在の仕事上、クラウド対応が必要
- B:現在の仕事上、クラウド対応は不要
- C:現在の仕事上は不要だが、次の経験として検討する余地がある
「クラウドに行かないと詰む」という二択ではなく、現在の仕事におけるクラウド対応の必要性を判定することがこの記事の結論です。
この記事でわかること
- 「クラウドに行かないと詰む」という不安を、そのまま結論にしなくてよい理由
- 自分の現在の仕事とオンプレミス運用で、何を確認すればよいか
- どのような業務条件でクラウド対応が必要になるのか
- クラウド化しなくても別の方法で対応できる場合をどう考えるか
- 「クラウドを経験したい」という希望と「現在の仕事にクラウド対応が必要」という状態の違い
- 現在必要・現在不要・次の経験として検討、の3つをどう分けるか
- 自分の現在の仕事をA/B/Cのどこに置くか
- 本当に必要な場合に、次の判断へ何を引き継ぐべきか
インフラエンジニアはクラウドに行かないと詰むのか
結論から言えば、クラウド経験がないだけで「詰む」とは判断できません。
同じように、オンプレミス中心で仕事をしているだけで「詰む」とも判断できません。
判断する対象を「クラウド経験があるか」に置くと、現在の仕事に何が必要なのかが見えなくなります。
確認するべきなのは、
現在の仕事で何が起きていて、その問題を解消・変更するためにクラウド対応が必要なのか
です。
例えば、現在のオンプレミス運用に何らかの制約があったとしても、その解決方法が必ずクラウドになるとは限りません。
オンプレミスのまま別の方法で対応できるなら、クラウド対応は現在の仕事の成立条件ではありません。
逆に、現在の業務条件を変更するためにクラウド対応が必要になっているなら、クラウドは単なる「経験したい技術」ではなく、現在の仕事に関係する判断対象になります。
つまり、
「クラウドに行かないと詰むか」ではなく、「現在の仕事にクラウド対応が必要か」
から確認します。
まずは、現在の仕事とオンプレミス運用の条件を整理します。
まず確認するのは現在のオンプレ運用と担当業務
最初に確認するのは、クラウドではありません。
今、自分が何を担当しているのかです。
現在どの仕事を担当しているか
まず、自分が現在担当している業務を具体的にします。
「インフラ運用をしている」だけでは足りません。
どのような運用を担当しているのか。
どの範囲まで担当しているのか。
現在の業務がどこまで固定されているのか。
ここを確認します。
現在のオンプレ環境はどうなっているか
次に、現在の環境を確認します。
オンプレミス中心なのか。
既存の環境を継続して運用しているのか。
変更が発生する環境なのか。
現在の仕事を成立させている環境条件を整理します。
ここで重要なのは、オンプレミスであること自体を問題にしないことです。
オンプレミスだからクラウドへ移る必要がある、という順序にはしません。
現在の運用で何が固定・制約されているか
次に、現在の運用上の制約を確認します。
何が固定されているのか。
何を変更しにくいのか。
現在の方式では対応しにくい条件が発生しているのか。
この段階では、まだ「クラウドへ行く」と決めません。
あくまで、現在の仕事にどのような変更条件が存在するのかを確認します。
現状のままで業務が成立しているか
最後に、現在の方法のままで業務が成立しているかを確認します。
現在の方法で問題なく対応できているなら、クラウド対応が現在必要とは限りません。
反対に、現在の方法では対応できない変更要求が発生しているなら、その原因と解決方法を確認する必要があります。
ここまで確認すると、
現在の仕事に「変える必要がある条件」が存在するのか
が見えてきます。
次に、その条件とクラウド対応の関係を切り分けます。
クラウド対応が必要になるのはどんな業務条件か
現在の仕事に変更が必要な状態があったとしても、それだけでクラウド対応が必要とは限りません。
ここでは、
「変更が必要」→「クラウド対応が必要」
という短絡を避けます。
オンプレのままでは対応しにくい条件
まず確認するのは、現在のオンプレミス運用のままでは対応しにくい条件です。
現在の方式では対応が難しいのか。
対応するために運用方式そのものを変える必要があるのか。
変更要求によって、現在の環境に新しい対応が必要になっているのか。
このような条件を整理します。
クラウド対応で解消・変更できる条件
次に、その条件がクラウド対応によって解消・変更されるものなのかを確認します。
ここで重要なのは、
クラウドにできるかではなく、クラウド対応が必要なのか
です。
「クラウドならできそう」という理由だけでは、現在の仕事上の必要性にはなりません。
現在の制約と変更条件を確認したうえで、クラウド対応がその条件に対する必要な対応なのかを見ます。
運用方式そのものを変更する必要がある条件
現在の仕事では、単純な設定変更だけではなく、運用方式そのものを変更する必要が生じる場合があります。
この場合も、まず変更する必要性を確認します。
その変更を実現する方法としてクラウド対応が必要なのか。
それとも別の方法で対応できるのか。
ここを分けます。
クラウド化しなくても別手段で解決できる条件
これが重要な分岐です。
現在の問題を解消する方法がクラウドだけとは限りません。
オンプレミスのまま別の方法で対応できるのであれば、
「現在の仕事上、クラウド対応が必要」
とは判定しません。
この確認を入れないと、
「問題がある」
↓
「クラウドなら解決できる」
↓
「だからクラウドへ行く必要がある」
という飛躍が起きます。
本記事では、この飛躍をしません。
ここまで確認したら、次に「業務上の必要性」と「本人のクラウド経験への不安」を分けます。
「クラウドへ行きたい」と「クラウド対応が必要」は別
クラウド経験を持ちたいという希望と、現在の仕事にクラウド対応が必要という状態は同じではありません。
ここを混同すると、必要性を正しく判断できません。
クラウド経験を得たいという希望
「クラウドを経験しておきたい」
「クラウドの仕事をやってみたい」
という希望は、本人の次の経験に関する判断です。
それ自体は、現在の業務上クラウド対応が必要であることを意味しません。
市場価値への不安
「クラウド未経験だと不利なのではないか」
「クラウドを経験しないと市場価値が下がるのではないか」
という不安もあります。
しかし、これも現在の仕事にクラウド対応が必要かどうかとは別の問題です。
市場価値を判断する記事とは、判断対象を分ける必要があります。
将来性への不安
「このままオンプレを続けて大丈夫なのか」
という将来への不安もあります。
これも、現在の仕事にクラウド対応が必要かという判断とは別です。
将来の不安があることと、現在の仕事にクラウド対応が必要であることは同じではありません。
現在の業務上クラウド対応が必要という状態
一方で、
「現在の仕事で変更が必要な条件が発生している」
「その条件を解消・変更するためにクラウド対応が必要」
という状態なら、これは業務上の必要性です。
整理すると、
| 状態 | 現在の業務上の必要性 |
|---|---|
| クラウド経験を得たい | 別判断 |
| 市場価値が不安 | 別判断 |
| 将来性が不安 | 別判断 |
| 現在の仕事でクラウド対応が必要 | 現在の業務上の判断 |
つまり、
「クラウドを経験したい」と「クラウド対応が必要」は分けて考える
必要があります。
ここまで分けたら、現在必要なのか、不要なのか、それとも次の経験として検討するのかを判断します。
クラウド対応が「現在必要」「現在不要」「次の経験として検討」を分ける
ここで、現在の仕事を3つに分けます。
現在の仕事上、クラウド対応が必要な条件
次の状態なら、Aです。
A:現在の仕事上、クラウド対応が必要
- 現在の仕事で変更が必要な状態がある
- 現在の方法ではその条件への対応が難しい
- クラウド対応によって解消・変更する必要がある
- オンプレミスのまま別手段で解決する判断にならない
この場合、クラウド対応は「将来のために経験しておきたいもの」ではなく、現在の仕事に関係する必要条件です。
現在の仕事上、オンプレのままで対応できる条件
次の状態なら、Bです。
B:現在の仕事上、クラウド対応は不要
- 現在の業務が成立している
- 現在の制約に対して別の方法で対応できる
- クラウド対応を必要とする変更条件がない
- クラウド未経験であること自体が業務上の問題になっていない
この場合、クラウド経験がないことだけを理由に「詰む」と判断する必要はありません。
現在の仕事上、必要性がないからです。
現在不要でも次の経験として検討する条件
最後がCです。
C:現在の仕事上は不要だが、次の経験として検討する余地がある
現在の仕事ではクラウド対応が必要なくても、
「今後どのような仕事を経験する必要があるか」
という別の判断が発生することがあります。
この場合も、本記事では「クラウドへ行くべき」とは決めません。
あくまで、
現在の業務上の必要性はないが、次の経験としてクラウド対応を検討する余地がある
という位置づけにします。
判断を誤りやすいケース
特に注意したいのは、次のような混同です。
「クラウド未経験だからA」
これは成立しません。
クラウド未経験は、現在の仕事上クラウド対応が必要であることを直接意味しないからです。
同じように、
「オンプレだからB」
とも限りません。
オンプレミス環境でも、現在の仕事にクラウド対応が必要になる条件が発生している可能性があります。
さらに、
「クラウドを経験したいからA」
でもありません。
これはCに関係する可能性がありますが、現在の仕事上の必要性とは別です。
判断を分けるポイントは、
現在の仕事に必要なのか、それとも次の経験として検討するのか
です。
自分の仕事にクラウド対応が必要か確認する
ここまでの条件を、自分の現在の仕事に照合します。
まず7項目を確認する
| 確認項目 | 自分の状態 |
|---|---|
| 1.現在の仕事 | 何を担当しているか |
| 2.現在の制約 | 何が固定・制約されているか |
| 3.変更要求 | 何を変更する必要があるか |
| 4.クラウド対応との関係 | その変更にクラウド対応が必要か |
| 5.代替手段 | オンプレのまま別手段で解決できるか |
| 6.不安・希望との分離 | クラウド未経験への不安や希望を必要性と混同していないか |
| 7.次の経験 | 現在不要なら、次の経験として検討する合理的理由があるか |
この7項目を順番に確認すると、「クラウドに行きたい」という希望と「現在の仕事にクラウド対応が必要」という状態を分けられます。
Aになる条件
次の4条件をすべて確認できるなら、A:現在の仕事上、クラウド対応が必要です。
- 現在の仕事に変更が必要な条件がある
- 現在の方法では、その条件への対応が難しい
- その条件を解消・変更するためにクラウド対応が必要
- オンプレのまま別手段で解決する判断にならない
つまり、「クラウドを経験したい」ではなく、現在の仕事を成立させるためにクラウド対応が必要という状態です。
Bになる条件
次の状態なら、B:現在の仕事上、クラウド対応は不要です。
- 現在の業務が成立している
- 変更が必要な条件がない
- 変更が必要でも、オンプレのまま別手段で対応できる
- クラウド未経験であること自体が現在の業務上の問題になっていない
この場合、クラウド経験がないという理由だけで「詰む」とは判定しません。
Cになる条件
次の状態なら、C:現在の仕事上は不要だが、次の経験として検討する余地があるです。
- 現在の仕事ではクラウド対応が必要ではない
- しかし、現在の環境だけでは経験できない領域がある
- その経験を次の段階で得る必要性を別途検討する合理的な理由がある
ここで重要なのは、Cになった時点で「クラウドへ行くべき」と決めないことです。
Cの出口は、次の経験としてクラウド対応を検討する必要性があるかまでです。
判定を間違えないための3つの切り分け
「クラウド未経験だからA」ではない
クラウド未経験は、現在の仕事上クラウド対応が必要であることを直接意味しません。
「オンプレだからB」でもない
オンプレミス環境でも、現在の仕事にクラウド対応が必要になる条件が発生している場合はあります。
「クラウドを経験したいからA」でもない
これは現在の業務上の必要性ではなく、次の経験に関する希望・判断です。
したがって、
現在の仕事に必要 → A
現在の仕事に不要 → B
現在は不要だが次の経験として検討 → C
という順番で判定します。
結局、クラウドに行かないと詰むのか
「クラウド経験がないから詰む」
これは、この情報だけでは判断できません。
「オンプレだから詰む」
これも、この情報だけでは判断できません。
判断するべきなのは、
自分の現在の仕事にクラウド対応が必要なのか
です。
最終的には、次の3つに分けます。
A.現在の仕事上、クラウド対応が必要
現在の仕事に変更が必要な条件があり、その条件を解消・変更するためにクラウド対応が必要な状態です。
この場合は、クラウド対応が現在の仕事上の必要性になります。
B.現在の仕事上、クラウド対応は不要
現在の仕事が成立しており、必要な変更にもオンプレミスのまま別手段で対応できる状態です。
この場合、クラウド未経験というだけで「詰む」と判断する必要はありません。
C.現在は不要だが、次の経験として検討する余地がある
現在の仕事ではクラウド対応が必要ではないものの、次の経験としてクラウド対応を検討する余地がある状態です。
ここでは「クラウドへ行くべき」とは決めません。
あくまで、現在の仕事上の必要性と、次の経験としての必要性を分離します。
まとめ
「クラウドに行かないと詰む」という問いは、クラウド経験の有無だけでは判断できません。
確認する順番は、
現在の仕事
↓
現在の制約
↓
変更が必要な条件
↓
クラウド対応が必要か
↓
クラウド未経験への不安・希望と分離
↓
現在必要/現在不要/次の経験として検討
↓
自分の現在地を確定
です。
判断結果は、
- A:現在の仕事上、クラウド対応が必要
- B:現在の仕事上、クラウド対応は不要
- C:現在の仕事上は不要だが、次の経験として検討する余地がある
の3つです。
つまり、オンプレミス中心だから詰むのでも、クラウド未経験だから詰むのでもありません。
自分の現在の仕事にクラウド対応が必要になっているかを確認することが先です。
Aなら現在の仕事上の必要性としてクラウド対応を考えます。
Bなら現在の仕事上はクラウド対応を必要としないと判断できます。
Cなら、現在の業務上の必要性とは分けて、次の経験として検討します。
なお、ここから先の「どのクラウドへ行くか」「どの会社へ行くか」「転職すべきか」は、本記事の判断対象ではありません。
それらは、A/B/Cを確定した後に行う別の判断です。
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本記事のA/B/C判定を終えた後、別の判断が必要になった場合だけ、以下の記事へ進みます。
- インフラエンジニアは将来なくなる?自動化される運用と変わる役割
→ クラウド対応の必要性とは別に、自動化による役割変化を確認する場合。 - インフラエンジニアは将来性ない?見るべきは「今、何を任されているか」
→ 本記事のクラウド対応必要性とは別に、現在任されている仕事からキャリア上の現在地を確認する場合。 - インフラエンジニアの市場価値はどう見る?どこまで任されているかで分かる評価
→ クラウド対応の必要性とは別に、市場価値の評価根拠を確認する場合。 - インフラエンジニアは環境を変えるべき?任される仕事が固定されている
→ 本記事で現在必要/不要を確定した後、現在の環境を変える必要性を別に判断する場合。 - インフラエンジニアのキャリアはどう変わる?運用・構築・設計のどこにいるか
→ 本記事の判断後に、運用・構築・設計の現在地からキャリア分岐を別に確認する場合。
